1 ベル

やあ鈴

そんな事より、鐘が…鐘が病気にかかって寝込んでしまった。私も詳しい事はよくわからないのだが、呼んだ医者によると、仮病という病気だそうだ。鈴、今すぐにでも帰って来ておくれ。お前のその眩しいばかりの美しい笑顔で鐘の病気が治るやもしれぬのだ。病は気からという言葉があるだろう。頼む、このまま鐘が死んだら、何もしなかったお前を憎んでしまうかもしれんのじゃ。ああ、どうしたことか、鐘がこちらを見て必死に笑いをこらえている。きっと状態が深刻化して精神がおかしくなってしまったのだろう。そういえば医者も「仮病ですね」と告げるなりスタスタと帰っていきおった。きっと自分の手に負えない病名だったので逃げたのだろう。なんて無責任な医者だろうか。ああ、もうこうなってしまった以上お前だけが頼りなのだ。頼む鈴!この通りだ…どうか、どうか帰って来ておくれぇ!