60 無名さん
土屋日柱上人はいったんは管長を辞任したものの管長選挙に立候補し、宗内の全僧俗に対して「宣言」を発表
宣言

 日柱の管長辭職は、曩(さき)に評議員宗會議員并に役僧等の陰謀と、其強迫によつて餘儀なくせられたるものであれば元より日柱が眞意より出たものでない。かゝる不合理極まる経路に依て今回の選擧が行はれる事になつた。
斯の如き不合理極まる辭職が原因となりて行はれる選擧に於て、日柱以外の何人が當選されたとしても、日柱は其人に對し、唯授一人の相承を相傳することが絶對に出來得べきものでない事を茲(ここ)に宣言する。

抑も唯授一人の相承は、唯我與我の境界であれば、妄りに他の忖度すべきものでない。故に其授受も亦た日柱が其法器なりと見込みたる人でなければならぬ。聞くが如くんば、日柱が唯授一人の相承を紹繼せるに對し、兎角の蜚語毒言を放つ者ありと。これ蓋(けだ)し爲にせんとての謀計なるべきも、斯の如き者は、師虫の族である。相承正統の紹繼者は、日柱に在り。日柱を除いて他にこれなき事を斷言する。
既に不合理の經路に依て行はるゝ、今回の選擧であれば、これに依て他の何人が當選するとも唯我與我の主意に反するを以て。相承相傳は出來ないのである。乃ち佛敕を重んずる精神に基く故である。斯の如く日柱が相承を護持する所以は、謗徒の爲に、宗体の尊嚴を冒瀆せられ、仏法の血脈を斷絶せらるゝ事を恐るゝゆへである。而かも米國の民主主義や、露國の無政府共産主義の如き事が、我宗門に行はれることになり、それが延ては終に日本國體に及ぼす禍根となるを悲む所以である。

日柱は宗體を顚覆せらるゝ事を痛嘆する者である。既にこれを憂慮せる清淨の信徒は、奮起して正義を唱へ、相承紹繼の正統を、正統の正位に復すべく熟誠活動して居るのである。苟(いやし)くも僧侶として信念茲に及ばざる如きあらば眞に悲むべきである。即ち佛法の興廃は今回の選擧によって定まるのである。願くば選擧に際し其の向背を誤らざらんことを。
佛日を本然の大光明に輝かさんと願はん純正の僧侶並に信徒は、完全として三寶擁護に奉ずるために、正路に精進し、倶に宗体を援助するに勇猛なれ。

南無妙法蓮華経
大正十五年一月廿五日