69 羽賀けん痔◆ELo7
続き…


加藤とかなは居酒屋に入り、普段は二人とも酒が弱かったが、この日ばかりは何故か飲みまくった。
さっきまで涙をみせてた彼女はとても楽しそうな笑顔を見せていた。下らない世間話や互いの趣味の会話が良いツマミになってたようだ!そして時計の針が正午に差し掛かった時、彼女は言った。『帰りたくない』
再び二人は缶チューハイを買って別のラブホに向かった。そしてジャグジーに温めの湯を入れ、飲みながら混浴に浸かった。普段の癖か、加藤の背中を流そうとするかなに対して加藤は言った。
『おまえはかなだよ!瞳じゃない。』
そう言いながら、彼女の背中を抱き寄せた。そして彼女は言った
『私ね、口約束だけどプロポーズされてて、結婚を決めてた彼がいたんだけど、遊びだったみたいで結局捨てられたの…。もう忘れたつもりだったけど、雰囲気が凄く似てて思い出したみたい。』
慰めの言葉が見つからない加藤だったが、ありえない程のクサイ台詞が言いたくなった。
『多分、俺には君を幸せにする力はない。一生かかっても無理だろう!でも今夜から俺は君だけの魔法使いだよ。これでもかって感じで側にいるからね。明日の朝君が、目を覚ましてもこの魔法は溶けない。財布は薄っぺらだけど、情の厚さでこの魔法は出来てるんだよ!淋しい時は魔法使いを呼べばいい。君に必要なくなるまで効くはずだから』『でも男は都合のイイ相手を求めるもん。また裏切れるのが怖い。』
『だから裏切れる。食わず嫌いは損するぞ!信じろって。お前のは愛じゃなくて恋だったんだよ。恋は相手に求めるけど、愛は相手に与える。ホントの愛を知った時、君は幸せを味わってると思うよ。』
オヤジ臭い台詞がかなの中にある何かを変え動かした。何かを覚ったのだろう!


次に続く。