1 瑠璃◆vG1n

ある街にワキの臭いが突出した

人間の赤ん坊が生まれました。その異常なまでの臭いが原因で周囲の人間を敬遠させ、誰も半径50メートル以内には近寄らなかったがその子は孤独さを感じなかったそうな。なぜかというとその子は自分のワキの臭いを友達として慕っていたからです。そうです、くさい粒子の一粒一粒が友達…つまり億単位に値する素敵なお友達がその子の周囲を浮遊していることになるのです。とても幸せでした。そして時は流れその子が10歳の誕生日になったその日の夜の出来事です。自分の部屋でくさい粒子たちとベッドに横になろうとした時です。突然目の前に光を纏った老婆が現れました。
ワキガの子が「あなたはだれ?」と訊ねると老婆はゆっくりと口をあけて話し始めました。
「わたしはワキガの神じゃ。24代目のワキガの神じゃ。わたしはもともとは普通の人間だったんじゃ。しかし、並外れたワキガを患っている理由だけでワキガの神として任命されてしまったんじゃ、23代目にな。わたしは、自分のワキの臭いを酷く嫌っていた。そしてついに自分の体臭の嫌悪感に限界が来て、自殺をしようとした瞬間、目の前に光り輝く老婆が現れたんじゃ、そしてさっき言ったように一方的にワキガの神にされちまったんじゃ。
今の私のように。その老婆はわたしが自分よりワキの臭いが強烈な人間を探し出し、ワキガの神の継承者にするように言ってさっさと逝きおった。そしてまたワキガの継承の儀式が始まろうとしている。そう、おぬしが25代目のワキガの神になるのじゃ。断ることは許されん、ワキのにおいが並外れた者はワキガの神になる宿命を背負った者なのだから。」
ワキガの子は大いに喜びました。ワキガにかかっている自分に誇りを持っているので、まさか自分がその神になれるとは夢にも思っていなかったからです。
継承の儀式はほんの数分で終了しました。24代目のワキガの神は継承されることを嫌がると思っていたのでホッとしました。
ワキガの子は晴れて25代目のワキガの神となり脇のにおいを複数に分けてコントロールすることができるようになりました。「人間の死体が腐り果てた臭い」「生まれてニンニク料理しか食べずに一度も歯を磨いたことのない50代の中年の口の臭い」「強烈に臭いビチグソを腹いっぱいに食べて吐いたゲロの臭い」「ドリアンが腐った臭い」です。
2 つづき
よみたい!
3 無名さん
ないない…
4 えー
ざんねん‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
5 文彦◆oJKe
これは
6 友光啓二
……