
sakutaro
或るエンペラーの肖像
その人は白馬に乗って現れた。
朴訥そうな感じであるけれども
冷たい眼を時々、見せた。
雪の中の反乱軍を鎮圧し、その司令たちは
処刑された。
軍事同盟には難色を示し勝目の無い戦さには反対した。けれども、陸軍の刺客に狙われたのでしぶしぶ開戦した。
副官は生真面目であるけれども無能ぞろいであった。
彼の見ていた通りに大敗北した。それから、敵国の総司令と直談判し、無能な副官どもは処刑せしめた。
大都市の中心の原生林に在る彼の住居は保持された。死ぬまで現役を貫き勤勉であった。
彼の晩年は罪を償うべく消費され、罪の意識は消去しようとした。
罰せられた晩年は、明るい家族の長としての顔と永劫罰に苦しむ顔と二枚、必要だろうか?
彼が死去して後、その国は様々な災禍に襲われたが、それは彼の責任では無かった。
彼は回顧録を残さなかったので、私の筆は難渋した。彼の難渋した微笑のように。