薔薇の頬


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Name sakutaro

似てゐた物は?


おまへは罪を犯すと、わたくしを思ひ出す。ところが、わたくしは、刑事、民事を問はず逮捕されたことは無い。したがつて、警察は、わたくしの指紋を所持しない。考へるに、おまへは、わたくしの事を忘れ無いのだ、いつも。師走の街の喧騒を抜けると双子星を見付けた。しかし、その星たちは決して交はる事は無いのだよ。妹よ。
 ReDel
Name sakutaro

ピノキオ


私の愛があなたを縛っていたのですね。
私は母のようにあなたを包囲していたのですね。私が居なければカップラーメンひとつも食べられ無くなっていた。別れましょう、あなた。ワルツを踊りなさい、ピノキオ。わたしには私の道があります。
 ReDel
Name sakutaro

アラファト哀歌


あなたはパレスティナを追放されたアラブ人のテロリストとして出発した。
イスラエルとの永い抗争の末に小さな自治区を獲得した。和平と呼べるのか?
ユダヤの国の首相と共にノーベル平和賞を受けた。二人ともおびただしい血に汚れた手で。(この首相は同じユダヤ民族に暗殺された)。
サダム・フセインと握手したアラファトが悪いとは思わない。双方ともさらなる過激派が台頭して、アラファトはその後、勢力を失い、イラクにおける戦争にも何の影響も与える事は出来なかった。「パレスティナの象徴」として。
イスラム世界全体が昏迷して行く中で、アッラーは彼に肉体の死を与えた。フランスの異郷の病院で死亡したのも暗示的だ。
わたしは小さな「野の百合」を一輪、彼に捧げたく思う。
 ReDel
Name sakutaro

アドレス


その人の場合、「家」に対する執着は強かった。幼い頃から「居住」が定まら無かった所為であろうか?欧州旅行の時も「孤独さん」と呼ばれた。言語不通の為もあろうが、なに、所属するところの国籍地でもそうだったのだ。そういう星の下に生まれた。星にも遺恨が有ったらしく「選挙」の類には投票をした事が無い。間接民主制を信じぬという理由では無く、「住民票」と
「居住地」が著しく乖離していた為である。「樹」を偏愛したけれども、樹のように定着する事は無かったので、全ての樹木は枯れてしまった。今夜も家の掃除に余念が無いが、やがて捨てられる家は沈黙した侭である。そうして、転々とした住居を偲ぶのである。ネットの家に住めぬのは当然と言えるかと思う。
 ReDel
Name sakutaro

魚たちの見たものは。


あなたを被告にしたところで精神鑑定の結果、無罪となるだろう。
そうして罰をのがれた女は、ますます雄弁になり、自らの人生哲学を述べ、濁った河に沈む。溺れる手に誰も助けるものは居ない。深い河に沈む。そうして流れて行った。これを海葬と呼ぶのである。
 ReDel
Name sakutaro

静かな社会


最近、どこも静かだ。例えばうちの近所。数年前は夫婦喧嘩、兄弟喧嘩、駅での恋人たちの口論。うちの家族も静か。

官庁や企業も静か。じっと、パソコンの画面を見入るばかり。

裁判官も少しだけ双方に質問し、その結果をノートパソコンに記録し、やがて、それが判決文になっていく。検察側も電磁記録を示し、弁護側も同じようなもの。法廷の懐かしい姿はテレビドラマか映画の中にしか見れぬ。旧大蔵省の主計官のシャツの袖をめくり、各官庁からの予算要求書を色鉛筆でチェックする姿も消えて久しい。
財務省になったから?
名前の変わる前からすでにそうなっている。年末に市町村長が大勢で陳情する姿も無い。当時の大蔵省は日本国中の土産物で一杯だった。今、陳情の風景を見るにしても、吉原の花魁道中のような風俗観光にすぎぬ。重要な事は特別に厳封された電子メールで、特別な密室チャットで折衝し商談し成立する。
こじれた場合も電磁記録に残るし、都合の悪いものは削除する。どこの家族も恋愛さえも似たように成っている。道行く車のほとんどは内部の見え無いシートを窓に張っており、降りてくる人は普通の例えば四人家族で、静かにマンションの密室に消えていく。愛の確認も電磁記録を見れば済むわけで。確認できるのは、さまざまなガードマンの顔。それも人材派遣にすぎない訳で覚えた頃には変わっている。

高額な所得を得ている有名人も住民票と違う場所に住み、どういうルートで放送局に現れるのか?帰る道も尾行を振り払うように様々で。
また、コンピュータウィルスを発生させた奴がいるらしく、私のパソコンソフトがヴァージョンアップを要求している。ダウンロードに一時間だって。

10年位前に定年退職した人々のみ健康で座談の花を咲かせている。もう30分立てば、ソフトの欠陥が修繕されるらしい。どこに行こうとしているのか?この社会?

入念に管理されたアメリカの野球場で日本人がホームランを打ったらしい。喚声が聞こえる。ダウンロードが、そろそろ、完成するようだ。地球も案外、木星のように静かになるのが早いのかも?まあ、ハードウェアが潰れ無ければいいけどさ。
 ReDel
Name sakutaro

あかね雲


激しい轟音に窓を開けると戦闘爆撃機が規則正しく進んでいた。奇襲だ。何という詩的な想念だ。。私は生きていることを実感し、感動に震えた。死の可能性のたかまりは、生の充実を喚起させた。土のような私の死体が見える。やり残した事は多いが、運よく生き延びたとしても、その後、享楽的な日々を過ごす事には違い無いので、いつ死んでも、やり残した事は多かろうと、ふと思った。或る蒸し暑い日に。。
 ReDel
Name sakutaro

異議有り!


私は、即時控訴したいと思うのだが。けれども現実の流れが速過ぎてついてゆけぬ。5年前から、私は、3年前に倒産したA社の代理人である。相手方のB銀行はちっぽけな銀行の割りに今は実質的に国営化されている。参考人、CとDは村民であったが、いつのまにか、Eという名の市民になった。Cは、そのうち自己破産して行方不明。Dは高速道路の事故で死亡。Dの遺産相続人には、当然、この事件の記憶の有る訳は無い。5年前の事件であるのに、CとD以外の元村民は死亡かほとんど入院している。B銀行の当時の監督官庁は大蔵省。今は金融庁になっている。いつのまにか、B銀行の頭取に、当時の大蔵官僚がなっている。元大蔵官僚氏は事件の記録は無いという。誓約したから、多分、本当であろう。A社の経営陣のほとんどは、行方不明になっていてB銀行に関する資料は私が所持するもの外、無いらしい。依頼人行方不明の代理人なんて意味は無いのだが。A社の社長の人なつっこい笑顔は今も脳裏にある。私は戦いたいと思っている。現頭取氏も後、2年勤めるのが精いっぱいであろ
うと寂しい顔。私は失われた私の過去の時間の損害を賠償して欲しいと思う。
構造改革は、そういう仕組みであったのだった。私だけは元気であるから原告になれるが、被告の特定は困難だ。おまけに私の妻子も消えちゃったよ。
人生いろいろ、箱入りラーメンをすすりながら、私は呆然として生き続ける。
ん?人体によくない添加物が入ってるだと?家庭料理にも、そいうものは入ってるさ。収穫された野菜は今は長い命が与えられる。ああ、蝋燭が消える・・・

(この作品はフィクションであり、特定の個人・団体をモデルにしたものでは無い)つまり、ノン・フィクションでもあるのですよ、、皆さん、、、?
 ReDel
Name sakutaro

ハンガリアン・ダンス


私はプラハで歓楽的な日々を過ごし、日本に帰って来た。地球で一番、「その日」が来るのは東京では無くシドニーであるのだが、「昨日」がもう一度、日本で楽しめる。東欧娘の瞳は碧く、蜜月の日々が続
く。飛行機という危険な密室が怖く無い人々は奴隷商人のように儲ける。アルチュール・ランボーの体験は学ばねばならぬ。
しかし、それよりも、甘美な君のキスが、そういう勉強の時間を与え無い。富の最大な者は富を奪われ、学者は牢獄へ。飛んだ吉田松陰の首は日本を帝国主義の国とした。今こそ鎖国がふさわしいのだが、先端的な日本はもう、ヴァーチャルな国の一地域でしか無い。ああ、気付くのが遅かったね。日付的に東京は世界の先兵。もう、ノアの箱舟に乗っても仕方が無いねえ。
ヒロシマ、ナガサキ、トーキョー、オオサカの焼け野原を見る事は時間的に無理であったが、神戸の大地震の後の焼野が原を私は見た。多少の役には立つだろうと思う。日付変更線上の危険な仮面舞踏会が始まった以上はね。
 ReDel
Name sakutaro

アパートの時計


私は、午後9時きっかりに彼女の部屋を訪ねるのを日常とした。

アパートと言っても昭和初期に建築されたものらしく木材なども良いものが使われて
居り、煉瓦を基調とした洒落れたものであった。玄関はフロントのようになっていて
アパートの所有者である上品な老婦人が
いつも、眼鏡をはずして挨拶してくれるのである。ロシア文学が趣味であるらしく
キリル文字の本を読んでいた。
私は、ロシア語は読め無いけれど、ツルゲーネフやチェホフ、プーシキン、などの人名を解読することくらいは出来た。

玄関の上に時代ものの時計が架かっており
たいてい、午前0時を指していた。
彼女の部屋の時計も、0時である。

ここで年を越した時なぞ、一斉に、部屋
の住人が喚声をあげるので、わたしの腕時計なぞは困ってしまうのであった。

普段は、3時間ほど居て、別れのキスをする。従って、私は最終の電車に乗る事が
出来た。駅の時計は午前0時10分なのである。わたくしの腕時計も、、

日常的に、このアパートの時間は3時間、先取されているのであった。
いつも不思議な幻覚を感じた。彼女はアパートの外に出る事が無いらしく、私の土産で食べていた。その頃、外国為替に熟知していたらニューヨークの相場で大儲け出来たのであったが。
たった3時間であっても時間を先取りする
事は、その後の私の人生に「罪と罰」を与えた。老婦人の読んでいた本の中には、
ドストエフスキーは無かったように思うのだが。私の書棚には有った。

罪を自覚した者だけが罰を受ける。あのアパートには罪の意識は無く今も存在しているのを先日、確認した。
 MailReDel
Name sakutaro

令夫人


モーツアルトのことを、或る人が秋の砂浜で子供が無邪気に小石を投げているような感じ、と言った。メロディアス

それを拾って、極めて構造的に(それは、今でも、微動だにしない)
ベートーベンは建築した。コンポーザー

ドビュシーは、いつでも酔っ払ったインプレッション、、
ワグナーはトランペッター 、マーラーはフラッター、、

私の愛人は、ブラームス。苦くて、渋くて、甘美なアーキテクト。

あとの連中?、、そうね、、2、3度は寝たかな、、ドン・ジュアン?
 MailReDel
Name sakutaro

懐かきテロリスト


午後の恋人たちは自然に私を遠ざける
窓は自然に閉じられた

何かが始まり、何かが終わる
何もかも昔のままに

柳川の土蔵の陰に
前橋の空の上に

私には、もう描く力は無いけれど
黄色の爆弾をひとつ置く事は出来る
 MailReDel
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