
sakutaro
生きる哀しみ
物語の始まりは、いつも、こういう事からだった。誰かの視線を感じた。沈丁花の匂いのする道で。また、私は過去の映像に囚われているのだった。
白昼夢ように、君は話し始めた。綺麗な眼で。
さりげなく、受胎告知を。父という事になれば私だろう。君を疑う事はできない。聖霊が父ということにすればいい。
私のやり方は、いつも、そういうような手口だったのである。
風に吹かれたマリア、狂ったマリア、どぶ川のマリア、、
私は、今も彼女たちを愛している。間違いないのです。
私の父よ、そうして、私も生れたのだから。或る廃屋で。
ミルクの味は、少し、酸っぱかったですよ。塩の味もね。
物語の終りは、いつも、そういうこと。わからない父への復讐ですよ。そうして、長いまつげの母は不幸になった。
私の抱いた人は、皆、さみしい横顔をしていましたよ。ええ。
sakutaro