1 VQ
ケニアテロはアルカイダ
ケニア・モンバサでイスラエル人を標的に起きた同時テロは、29日までの関係治安当局の調べで、犯行グループの周到な計画性が浮き彫りになった。同グループは週一便しかないイスラエル人観光客専用のチャーター機発着を狙い、帰国の途につく旅客機にミサイルを発射、来訪客には自爆テロを仕掛けた。相当の実地訓練を受けたとみられる組織力は際立ち、ウサマ・ビンラディン氏の支援組織「アルカイダ」の関与が一層濃厚となっている。イスラエル・メディアによれば、狙われたのはモンバサの空港から到着したばかりの約160人のイスラエル人旅行客だった。目撃情報などによると、犯人グループは旅行客が分乗した数台のバスを追尾し、警備が厳しいホテルの門を一緒にくぐり抜けたという。また、その数分前には、これら来訪客が降り立ち、代わりに旅行を終えたイスラエル人客が乗り込んだチャーター機が空港から離陸するところを狙い、ミサイルを発射した。こうした犯行には事前の入念な情報収集が必要だ。一方、使用されたのは現場近くで発見された関連部品から60年代に旧ソ連で製造された携帯型地対空ミサイルとみられる。精度は低く、直撃は免れたが、ある乗客は「翼の1メートル上をかすめた」と話した。旅客機撃墜という大惨事を狙った大胆な犯行だった。最も関与が濃厚とされるアルカイダからは、これまでのところ犯行声明などは出ていない。だが、直接的な声明をすぐに出さないのはアルカイダの常とう手段だ。その代わり、28日に犯行声明を出した「パレスチナ軍」と名乗る正体不明の団体については、パレスチナ問題を喚起させたい便乗犯との見方が有力で、各治安当局とも深刻に受け止めていない。イスラエル随一の民間テロ研究機関「対テロ国際政策協会(ICT)」は、アルカイダが昨年以来、イスラエルとユダヤ人を標的にすることを宣言していたことから、アルカイダ説を支持する。今年4月、チュニジアのシナゴーグ(ユダヤ教礼拝堂)で起こった爆弾テロではドイツ人が犠牲になり、シンガポールやオーストラリアでの対イスラエル人テロは未遂に終わった。