草の笛

過去ログ12 2006/4/4 1:35

▼sakutaro
サーカス
恐い顔のピエロが出てきた
普通は道化た化粧をするだろうに

なんでも、このピエロはピエロの労働組合
の組合長であるらしい

ブーイングにもかかわらず、ピエロは
出場し続ける

やがて、サーカスに客は来なくなった
2006/4/4(火)1:35

▼sakutaro
女の作品
それは、彼女の産んだ子供たちだ。
それ以外のものは信用ならない。
2006/4/1(土)22:44

▼sakutaro
旧約
男の体格は女を抱く為に胸板厚く手は長く造られている。

女の肩は丸く手も短く造られている。
赤子を抱くには、それで充分なのであろう。
2006/3/24(金)0:53

▼sakutaro
間諜
おれは、金で魂を売った。
実に悩ましい。
先生、知恵を貸して下さい。

選ばれた男はそう言った。
五年弱の膨大な失政を隠す為に。
これ以上、失いようは無い。

大きな劇場の椅子に男は一人で座っていた。
2006/3/7(火)21:18

▼sakutaro
或る下請け建築家の肖像
その男の体躯はがっしりしており、さまざまな肉体労働を経験してきたのであろう。頭は大きく額は広く聡明さを物語っていた。眼は澄んでいて罪を知らぬ子供のようだった。異様に顎が無く、意志の弱さを示していた。男はマネキンのみ作り続けた。マネキンに誰かが美しい衣裳をチームで着せる。男はドレスアップしたシヨーウィンドウの自作マネキンを見た事は無い。次々と安価なマネキンを男は作り続けた。或る日、衣裳の重みに耐えきれず、マネキンが倒れ、窓ガラスが壊れた。ガラスの破片を拾う作業チームに男も借り出された。黙々と破片を拾い、指に傷を負った。その後、マネキンの群像は次々と倒れ、男の頭部を襲った。男は息絶える前に、それが、自作のマネキンである事を認識したようである。不幸を絵に描いたような男の製作活動の終焉に見物人たちの拍手は鳴り止ま無かった。
2005/12/15(木)1:55

▼sakutaro
歳晩のメロディ
国家というものが国民を蝕んでいる。
それが、国民を保護する装置であった例は稀有である事を今までの歴史が証明する。

私は襤褸をまとい角笛を吹く。それは決して録音され無い。森の奥に木魂する。

私はその曲の題名を、『人類が絶滅せぬ為の奇想曲』と名付けた。
2005/12/10(土)9:50

▼sakutaro
虫歯
冬に入ると何故か虫歯が痛む。治療する。そうすると又、横の歯が重荷を降ろしたように取れる。それを繰り返していくと本当に自分の歯はどれなのか判らなくなる。仮に私が飛行機事故で死亡したとする。

この歯医者のカルテが私自身を証明する。
生きる為の医者通いの資料が私の肉体の死を確認する。

私はすっかり冬木立になった道を失った歯の事を考えながら帰宅する。

もうすぐに、クリスマスや、お正月である。毎年、そういう事をしながら年が暮れる。少しづつ歯を失いながら少しづつ老いていく。ふっと、私は自分の死体を見たような気がした。
2005/11/17(木)1:20

▼sakutaro
秋の井戸
あくまで深く誰かが飛び込むのを待つてゐるやうだつた。それは地球の裏側にまで達せ無い事は事実のやうである。
秋遍路、それは高齢者社会を避ける智恵だつたのだが、回避された。
今夜も若いソプラノ歌手の声がする。
2005/10/10(月)23:24

1311

掲示板に戻る